"治療" 迷走記

経緯

遠い昔に肉食をやめて以来(15年以上)全く風邪をひいていないし、花粉症でもないし、歯医者以外は病院にも通っていない。だから余計な薬も飲んでいないし、妙な注射もしていない。気になる症状といえば職業がら「肩こり・首こり」ぐらいだった。


そんな私が2021年後半、働ける状態ではなくなってしまった。症状が出始めたのは2020年の春ごろからで、異常に仕事量が増えたことがきっかけだった。あちこちの身体の痛みに耐えて頑張ってきたけど、特に手指の症状は悪化する一方。とうとう仕事にも私生活にも支障が出てしまい、本当の限界が来てしまった。


その間何も治療を考えなかったわけではなく、むしろ必死で原因を探ろうとし、効果がありそうな治療方法を探しては試してきた。


外科的治療(注射や手術)では根本的解決にならず、何度も再発する可能性が高い。しかも組織が損傷して多かれ少なかれ後遺症が残るので、この選択肢は除外。「根本的な治療法」を掲げる治療家を探すことにした。



【迷走1:整骨院/整体】

2021年1月。ネットで見つけた整骨院を訪れ、診断後に「症状が重いので、他の人の倍かかって治療期間は半年」と言われた。自費治療は非常に高くつくが、半年で全症状がスッキリ治るなら!と信じて、仕事を続けながら通った。


しかしもうすぐ半年という時期になっても、指は治るどころか悪化していく。当然、先生との会話のやりとりも微妙にずれてくる。私からの質問攻めに対して「ストレスのせい」「年齢のせい」など、よくあるフレーズが返ってくるようになる。


このまま続けても変わらないどころか逆効果だ、と判断して通院をやめることにした。しかしここで問題になったのが、購入済みの回数券は途中で通院をやめても未使用分が返金されないということ。割安だからと積極的に勧められるが、実は解約できない仕組みなのだ(これも大反省点😓)


あとから調べると、消費者センターにも同様の苦情がたくさん入っている様子。これ、もっと大々的に通知してほしい!


(例)YouTubeで有名な整体治療家が、自身の同業者向け別チャンネルなどで「整体院でリピート客を取る仕組み=回数券を導入しよう」というような動画を配信していたりする。儲け続ける仕組み、回数券ビジネスってわけだ。一見、両者にメリットがあるようだが、途中で何があるかは予想できないので、回数券を強力に勧めてくる整骨院や整体院には気をつけたほうがいい。


そもそも、「自分が施術していない分も儲けてしまう」というのは、その治療家にはプライドがないのだろう


もう一つ、整体院などのホームページには「治った症例」ばかりが掲載されている。当たり前だが、「治らなかった症例」やそれに該当する患者の感想は掲載されない。


◆ 「慎重に!接骨院や整体院等での回数券購入」(神戸市の消費生活相談情報)

https://www.city.kobe.lg.jp/a07153/shise/press/732347698740.html



【迷走2:他の代替療法を探す】

他にどのような方法があるか、同時に自分自身で何ができるか、ネットや本で調べた。


治療法

鍼灸/整体/カイロプラクティック/オステオパシー/ホメオパシーなど

民間療法その他(食生活/運動/重曹/クエン酸/電磁波対策⋯)


参考にした書籍

  • アンドルー・ワイル「癒す心、治る力〜自発的治療とは何か」
  • ロバート・C・フルフォード「いのちの輝き〜フルフォード博士が語る自然治癒力」
  • リズ・ブルボー「自分を愛して!〜病気と不調があなたに伝えるからだからのメッセージ」「〈からだ〉の声を聞きなさい」
  • 梯谷 幸司「本当の自分に出会えば、病気は消えていく」
  • 永井 峻「首ポンピング」「おなかもみ上げ」他(セルフケア本)
  • 宮城旺照「首わしづかみ〜脳脊髄液を流しなさい」
  • 木野村朱美「イラストでわかる疲れないカラダの使い方図鑑」
  • 甲野善紀と甲野陽紀の不思議なほど日常生活が楽になる身体の使い方 (DVD付き)


上記の書籍などを参考に、私が選んだ治療法は「オステオパシー」である



【迷走3:オステオパシー】

オステオパシーは、アメリカ発祥の自然医学(概念)

  • 全身を一つながりと考えて治療する
  • 自然治癒力を最大限に生かせる身体に調整する
  • 人間の自然治癒力を最大限に活かした医学
  • 施術方法:頭蓋仙骨療法など

結論から言うと、2つのオステオパシー医院に通ったが完治しなかった。どちらとも初診の段階で「こんなにひどい例は初めてだ」と困惑されたが、力は尽くしてくれたと思う。


1つ目の治療院に通い始めて1ヶ月経ったころ、痛みが増して仕事ができない状態になり、努めていた会社を退職した。こんな状態になるまで我慢して仕事を続けたことを、ものすごく後悔した。しかし最大のストレスだった「仕事」を辞めたことで、病状は改善するだろうとポジティブに考えることにした。


期待もむなしく、それから2ヶ月後に「これがここでの治療の限界」と宣言され、別の治療院を紹介された。もちろんこれも自費診療だし、今まで以上に高額な治療費がかかってしまう。それでも、治るなら⋯「治ったら何でもできる!治ったら取り戻せる!」と、将来のためにコツコツ貯めてきた貯金で生活費と治療費を捻出し、諦めずにできる限りのことを試すべきだと考えた。


2つ目の治療院でも「どこまで治せるかはわからない」というところからスタート。途中で何か原因が探れたようで「治せる!」と言われた時には、家族と一緒に喜んだ。しかし残念ながら、思うようには進まない。「今日の調子は?」と毎回聞かれるたびに、こんなに一生懸命治療してくれている先生に対して、治らない自分に罪悪感を感じるようになる。「こんなに色々試しているのに、どうして治らないんだろう」と、どんどん自分を責めるようになる


勧められた専門家による電磁波対策までしたが、その効果がわからない。私だけではなく、患者たちがなかなか治らない原因が5Gだとすると、それを防ぐ手段はないに等しいって!? じゃあ、治らなくても一生通い続けるのか(それでは根本的治療ではなくて、対症療法でしかない)。


どんな人でも、その前にお金が尽きてしまうだろう。そもそも低収入の自分が本当はこんな頻繁なペースで通える治療方法ではないのだが、それは治療する側の頭の片隅にもない問題かもしれない。

あれ?なんか私、迷走しすぎているSTOP!


私の不安は当然、先生に伝わっているだろう。しかし逆に先生の苛立ちや焦りみたいなものも、伝わってくるのだ。こうなったらもう、治療は続けられない⋯


【迷走4:病気はメッセージ?】

通院をやめても、もちろん治すことを諦めたわけではない。遠慮がちに「もう諦めたほうがいいんじゃないか」「そこで妥協して生きていくしかないんじゃないか」なんて言う人もいたけど、そんなネガティブな意見には耳を貸したくない。自己治癒力を信じると決めたなら、とことん信じてやる。


基本的な「食(栄養)・運動・解毒」などを見直しつつ、精神面からも探ってみた。

「そもそもどうして病気になるのか?」というテーマで、西洋医学以外の本を何冊も読んでみた。そこで共通して目にしたのが「病気は”自分らしく生きていない”というメッセージである」ということだった。つまり、自分らしく生きることができるようになれば、病気は役割を終えて消えてしまうということ。


確かに、病気になったおかげで人生観が変わったという話をよく聞く。むしろ病気を「敵」とみなさず、「贈り物」と例える人もいる。私の場合はどうだろう? ここまでに至ったこれらの症状の役割は、「人生における自分のとんでもない暴走を止める」ことだったと言えるかもしれない。


私は自分の身体を大切にしてきただろうか。酷使するばかりで、ちゃんと休ませてあげなかったね。そして自分の心をちゃんと理解して、大切に思いやってきただろうか。自分の心を殺して生きてきたんじゃないか。そしてとうとう、自分の身体ごとこの世から消し去りたいと考えていたんじゃないか。もうそのタイミングで、心も身体も本当は限界だったんだ


約10年前のこと。忙しくて、常に時間に追われて、イライラして自分にも他人にも厳しかった。何もかも嫌になって、あんなに夢中になって大好きだったギターも、そのギターに関するホームページも、数十年もの長い年月をかけて積み上げてきた「楽しくて大切なもの」を全部やめてしまった。周りには「もういつ死んでもいいから」なんて平気で言っていた。そのつもりで断捨離しまくって、楽器も本も売れるものは全部売って、写真も赤ちゃんの時代の分から一枚も残らずシュレッダーして処分した。つまり、そんな狂った行動の結果じゃないのか(むしろその時に大好きな趣味ではなく、会社を辞めるべきだったのだ)。


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病気で仕事を辞めてから、運動不足にならないように散歩をすることにした。ゴールデンウィークもお盆もずっと関係なく働いてきたから、療養期間は「天からの贈り物」と思って毎日を健康的に、大切に過ごそう。


最初は近所の公園の散歩から始まり、その後は川に沿って歩くようになった。鳥が大好きなのでたくさんのカモ、セキレイ、ハト、スズメたちに会えることが楽しくてたまらない。季節ごとに咲く花や木の葉の色が変わっていく様子や、空の雲を眺めて歩いていると「こんな穏やかで幸せな世界があったなんて!」と感じて涙が出てくる。私に必要なのは薬でも注射でもなく、「こういう時間だったんだ」と実感している。


完全に心が立ち直って、生きていることが心から楽しくなれば病状は消えるかもしれない。いや、きっと消えるだろう。今はそう信じて(開き直って)生きている。


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手当てと自然治癒力

子供の頃にどこか調子が悪い時、母がその部分に手を当ててくれた

きっと母も祖母からしてもらっていたんだろう

うっかり足をぶつけてしまった時、すぐに自分の手指でしばらく押さえておくとアザにならない

遠赤外線がどうのこうのとか知らなくても、単純にすごいなって思う